「JKハル」感想
ウェブ版にて読了。
想像以上に、なろうのチートものの王道(といってもある一時期の)という感じの作品でした。ここでのなろう的というのは、海法紀光さんが言った「世界をハックする物語」の意で使っています。ここでもう一つ思い返されるのは
「セカイ系(cosmic realism)とは、登場人物(おもに主人公)が世界の観念的秩序(セカイ、cosmos)への介入可能性をもつ物語ジャンルのこと」だって言ったでしょ、おじいちゃん。 #質問箱 #peing_motonaga_masaki https://t.co/taKVOn3A1d pic.twitter.com/8sK68OX8Nb
— 元長柾木 (@motonaga_masaki) 2017年12月19日
の、“登場人物が世界の観念的秩序への介入可能性をもつ物語”です。
セカイ系に限らず、それどころか物語ですらない生活において、人間はこのような力の渦のなかを生きているように私には思えます。それは、いつでもというわけではなく、万人に開かれているものではありませんが、誰しもがそのような力をたまに持ちます。(生まれたときとか)
これらの事実からチートものが根の深い類型であることは自明です。ですので、その類型に属する物語にふれたことが誰しもあるのではないでしょうか。しかし、多く書かれるからこそ書かれるべきであるのに描かれない余白の存在もまた浮き彫りとなります。JKハルはこの長年降り積もった澱を払う力を持つ作品です。書かれるべきが描かれることはめったにないことです。このようなことは「テイルズ・オブ・西野」以来です。(ありがとう西野、風の聖痕の供養をしてくれて!!!)
追伸
ところで、スモーブがアレなのは言うまでもないことですが、JKとかハルもつらいものがあります。それも自称であることがことさら嫌なものです(名乗りは世界への宣言であるからして)。このあたりについて、もんやりとした向きには、「田中のアトリエ」か「テイルズ・オブ・西野」をオススメします。田中さんや西野さんの誓約による(胎界主めいた)存在級位の高さよ!!
ハルも異世界もののカリカチュアとしてのチートもの。つまり、物語の類型である異世界来訪のカリカチュアとして異世界来訪(チートもの)があります。ハルは後者であるのは言うまでもない。