胎界主 高解像度版再読企画 07『遅刻』08『球体使い』09『インプ』10『ヘッド』11『サッキュバス』

07『遅刻』

(1-6p)

二人で大切にしていた金魚。金の指輪。7に止まる傾いた時計。

永遠の象徴である指輪は失われて、ひと時を得る機械が創り出された。

時を止めて侵入しする。事務所内の銃を盗んで撃とうとするも撃てずまごついていると、撃たれたためこれを利用して銃弾が当たるように動かしワンキル。そして、驚いているところをもう一度、時間を止めて自身で撃ち殺す。すると、もう一人が事態を察して撃ってきたため、再度時を止めて相手の撃った弾に当たるように動かして復讐は完了した。

以上の経緯は監視カメラに映っている。

(7-8p)

生体めいていることから、神獣石を材料に用いた? 

復讐完了時点と比べて無精ひげが生えていることから、ある程度の時間が経過していることが分かる。妻の危篤は知っており(だからやつれている)、電話は稀男のもとへの呼び出しだと思う。

(9-11p)

まず河鍋の持ち物は時間停止機械、時計、モデルガンだ。

モデルガンであることから、勝つつもりがなかったという仮説が立つ(この時点で妻の死期を悟っていることも仮説を支える)。また仮に勝つつもりであったとしても、銃を持っているように見せかけることで、相手に撃たせてからそれを利用し殺害する方法を選ぶだろう(河鍋が二人目を殺害した後、三人目を撃つのを避けたことから)。

稀男は、時間が停止していると誤認させるトラップ(吊るされた弾丸、おもちゃのイモリ、ネコ、ネズミ)を仕掛け、緒が見えるように右目をつぶり待ち構える。撃ったのは、いのちの緒のゆらぎが見えたため。撃つことで死ぬことが必然的にありえない場合、緒はゆらがない。

電磁力板は「運よく」作用した。これが、なにを相手にするのか分かっている時間の与えられたマナ使いの恐ろしさ。

救急車両を予め呼んである。

どうして自殺幇助は迷惑なのか。やはり、助けた相手が死ぬような助け方は、助けたということを知ることができないため承認の取れ高が少ないのかな。

 (12p)

ほんの少し先に死ぬことでなにに間に合ったのだろう。死亡時刻を把握しているということは、河鍋の死に聖子が立ち会っている? 救急車両に乗ってやってきた聖子は、河鍋の死に立ち会う→病院に行き妻の死を知る→稀男に報告?

 

あらすじ

妻を借金のかたで奪われた河鍋は、魔王にそそのかされ復讐のため時間停止機械を創りあげる。そして、復讐は成った。だが、不可解な殺人を犯したことで稀男に呼ばれた河鍋は、そこで時間停止機械に備えた稀男と対峙する。稀男が仕掛けた作動誤認トラップを見抜き、撃たれた瞬間に時間を止めて近づくと電磁力板が作動したことで、機械が誤作動を起こし撃たれてしまう。河鍋は死ぬつもりだった。最後に背を押してもらおうと稀男に助けを乞う。そうして、亡くなった河鍋は妻よりもほんのひと時先に死に、間に合った。

 

08『球体使い』

前編(1-21p)

いきなりこんなヤンキーマンガみたいなのってある?

妾ということは、やっぱり正義も善のように(善よりも少ないだろうが)子をつくっているのだろう。まあ、東郷の麓は正妻以外の子の方が多いだろうからな。

仁の夢、大海を自由に泳いでいきたい。

カラーの強みを存分に生かして、球体使いの異色さを示す。

 

後編(1-23p)

情叔父さんの味わい深さ。

久松に人望があること、仁を思う家族がいること、その帰結。

仁はなぜ自殺したのか。

:前提:子供のこころは穢れることを恐れる。①当主には成れないと認める→②付随して今までの行いの罪を認識する→③地獄の扉が開く(=こころが穢れる)→④その前に死ぬ。ポォを思い出して欲しい。①をシャクヨウを信じないに帰るとポォの自殺理由となる。以上がポォと同じ内実によって死を選んだ説である。仁のこれを見て、その内実をトレースしたことで、対シャクヨウ戦においてポゥを利用した計略が為せたのかも。

 もう一つ、仁が当主であろうとするのは大きな責任(東郷の胎界を統べる者としの)というの以外に、東郷から逃げていった人たちのためというのもあるのではないか。当主でなくてもいいというのは、お前は必要ないということを突きつけること。

 

あらすじ

東郷仁は、東郷家次期当主である。東郷家とは、球体使いの力によって西海道を支配する士族ランドを統べる一族である。仁は東郷家の次期当主としてふさわしい振る舞いをせねばならない。どれほどの犠牲を払おうとも。

西鮎世公立高校に転校した仁は、暴力により実力テスト白紙提出を強制する。これは、郷(東郷家の外地)である鮒界市に、残存する既存権力の影響を削ぎ東郷の支配を確立するためである。これに従わない生徒2名あり、その名は虹増二郎、戸的美穂である。

次郎は、裏番である。そして、東郷の球体使いである。次郎は仁の腹違いの兄弟なのだ。次郎は幼馴染の復讐のため、仁に襲い掛かるも一蹴される。次に向かうは、戸的美穂の元である。恐ろしや、またしても暴力によって蹂躙されてしまうのか。

しかし、意外なことに仁と美穂は夢について語り合う。そこには、心の交流があるのだ。そこに、久松一行が現れる。久松は次郎が裏の番長であるとするならば、表の番長である。先だって暴力によって服従させられたことの落とし前をつけにやってきたのだ。仁は、球体使いとはいえ人間である。同時にいくつものことができるわけではない。しかし、久松らの認識は甘かった。球体使いとそうでない者の差にあまりにも無知であった。確かに、全員の首を同時にひん曲げることはできない。だが、天井を落とすことはできる。天井が落ちて、戦いとも呼べぬ蹂躙は終わった。

仁の姉である聖子は仁の現状を憂慮していた。次期当主の責任はこころ優しい少年である、仁のこころを蝕み疲れ果てさせている。そして聖子は、こうした仁の犠牲があるからこそ、自分たちが東郷から逃げることができていることを知っている。聖子は仁を警察に出頭するよう稀男に依頼した。稀男は、周到に球体使いを分析し、その特性を掴み疲れ果てさせる。そこに聖子と、次期当主仁の叔父の情に依頼しに行った徳の二人が現れる。二人が説得したことで、仁は当主に成ることをあきらめる。しかし、当主にしかなれないと言い残し仁は自殺してしまう。

 

09『インプ』

・西鮎世小学校5年3組紹介

戸的実 クラス内の交友関係は広く浅く。栗島理子とは幼なじみ。(以下、戸的)

栗島理子 栗島たまきの妹。皆本世和至の妹と仲良し。魚成勇が好き。(栗島)

魚成勇 胎界主。小咄を書く。東郷正義の子。球体使い。(魚成)

女木常明菜 カチューシャをつけている。栗島とは対立ぎみ。(女木常)

九狼翔 猪山と仲良し。いじめっ子。レックスの息子。(九狼)

田豚 ベール派の魔王の精より生まれたインプ。長年、小学生をしている。

羊谷つよし ベール派の魔王ベリトの精より生まれたインプ。ベリトを強制送還したことで、戸的、皆本、栗島、稀男を憎んでいる。

(1-2p)

「俺様の涙が時価いくらすっと思ってんだよぉ」「自分に様つける人のお願いはきいたがいいぜ」好き。

wikiで翔の頭の怪我は『たましいの扉』で電車に轢かれたときのものと、あるけどマジでそんだけで済むの!? これがレックスの血か(たぶん違う)

(3-7p)

「遠くの親より近くの幼なじみってな」栗島妹カッコいい。

魚成は写真の田豚が、目の前の田豚と同じだと判断しているから力を使ったのだろう。

「幸い田豚は首の捻挫ですんだけど お仕事の都合で昨日引っ越して行きました 皆も突風には気をつけてな で 今日からこのクラスに転校してきた……」グルとはいえあまりの無理に笑う。

(8-16p)

田豚様呼びということは、ベール派の父魔王の階級が上か、インプとしての格上あたりなのかな。鮒界市よりも田舎に左遷? 

「お前があの時雌鳥を二羽用意していれば俺の兄弟が『レギオン』に取り込まれることもなかったんだぞ戸的実ぅ」さ、逆恨み~という感じ。父を恨むことができない歪さ。

羊谷は、戸的のスネオムーブ(男子はビンふた、女子は美容品)を真似て戸的を貶めつつ地位を確立。九狼たちをそそのかし、戸的に魚成を殴らせる。それに怒った栗島は、九狼たちをボコボコにする。それを利用し、栗島をクラスの会で吊るし上げいじめのターゲットにする(その過程で皆本に栗島を裏切らせ二人を孤立させている)。

 (17-28p)

この破滅の流れはどうにもならないのか。からの、魚成の小咄ヤバい。流れが完全に覆された。

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このページの流れは、①小咄読んだ対価→②金で払う→③金ではだめ→⑤稀男の小咄!!→⑥魚成の小咄(稀男にオチが分からない!?)⑦報酬成立!! ですよ。これが、東郷の次期当主候補、真の胎界主候補、魚成勇。(ところで、魚成と稀男ここで握手してますね)

小学生に乗って町を行脚できるのは、稀男が軽いから?

稀男、タバコ嫌いなのかな(子供っぽさ?)

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うわっベリトの隣、サタナキアだ。

「お前の障壁は穴だらけだ」ここ、仁の株が上がってうれしいな。

胎界主のお話は、魚成がコーヒー牛乳を届けに来る5時半までの時間稼ぎ。

(29-31p)

なぜか、最初から魚成に解決させるつもりだったようだ。

コーヒー牛乳のビンふただけ取って、魚成に渡す。稀男の習慣は、コーヒー牛乳を飲むことではなく(コーヒー飲んでいるしな、しかも2回)、ふたを集めることなのかな。

 

あらすじ

ここは、西鮎世小学校5年3組。突然の突風と親の仕事の都合で転校した田豚と入れ替わりで転校してきたのは、羊谷つよし。彼はビンふたコレクション、美容品で瞬く間にクラスを掌握する。そして、戸的、皆本、栗島、魚成をターゲットにして苛烈ないじめを始める。なぜ転校してきたばかりの彼はこんな非道をするのか。それは、インプであるため、父である魔王ベリト強制送還にかかわった全員に激しく憎しみを抱いているからだ。

ああ、恐ろしや悪魔の陰謀。このままじゃ子どもらみんなクビ吊りか。しかし、まだ子どもたちの心は折れてはいない。戸的と魚成は連れ立って稀男に助けを求めることにしたのだ。しかし、稀男はもみけしてくれる警察関係者が不在なためしぶる。魚成は報酬として小咄を読ませる。小咄は、稀男を笑わせ報酬として成立した。

稀男は、戸的に栗島と皆本の家に貯金の取り立てを命じて、魚成には5時半にコーヒー牛乳を持ってくるように言いつけた。そして稀男は、自身と悪魔と誓約者の三者面談を始める。稀男はまず、インプの障壁をいのちの緒を見ることであっさり攻略し致命傷ではあるが即死しない程度の傷を負わせる。そして、誓約者を脅し、胎界主の話をさせて5時半まで時間稼ぎを始める。やってきた魚成に、ケリをつけさせようという魂胆である。しかし、これには失敗して一緒に来ていた警察に取り押さえられ、インプは去り、誓約者は誓約によって逃れたためより大きな罰を受けることになった。稀男は、コーヒー牛乳のふたを取り、中身を魚成に渡して去っていった。

 

10『ヘッド』

 時系列を整理すると、2pの中段から→14の右の段まで→1-2pの一段目から→14pの真ん中から21pまで。という感じ。

あらすじ

ルーサー魔王の依頼により、稀男暗殺開始→失敗したので偽装するもヘッドから暗殺されそうになる(この暗殺前からぼろぼろのため複数暗殺があることがうかがえる)。稀男ルーサーを、署長に丸投げ。

 

(1ー6p)

海っぽいけど湖。

ここで捨てられているアイスの容器がラストの容器であることはみなさん御存じでしょう(わかってなかった)。アイスへの注視は、罪悪感?

アイスを捨ててしまったので、3pでまたアイスを食べようとしてる。ここの描写は、プロとしての冷酷さのと間抜けさが両立している。人をこれから殺そうっていう時にアイスを食べようとして、いつ来るのか読み間違えて食べそこなうとか。

躰化者だからいのちの緒が2本ある。

ルーサーはペイント弾を臭いで判別できる。時計を気にしている。情報与えすぎ。 

ルーサーの置いたアイスを子どもから取る稀男。

(7-14p)

ルーサー、三度目の正直でようやくアイス食べられた。情報を得るためにアイスを子どもあげる。

署長、ルーサーが署内に入った時点でもう爆弾を渡している。この時点でおおむね察している聖子と稀男。

ペンキで鼻をごまかし、接着剤付きの爆弾を投げつけることで相手を躰化に追い込むことで短期決戦にもちこむ。そして、時計をこれ見よがしに目の前に置いて悩める時間を明示し、その悩める時間を針を動かすことで誤認させ、時間切れ、躰化の副作用で身体が動かなくなると。

稀男は助けてに対して、「食事には厳粛な俺だがオヤツにはだらしがない 自戒も込めてお前が置いてったコーンアイスの代価を払ってやる」と言ったが、これは助ける者としての通常処理なのか、例外処理なのか。稀男がオヤツをもらったのは、きんつば、コーンアイスの二つ? 食べ物はもらえないけれど、オヤツはもらえるから報酬として機能するのか? それで、これを(オヤツ報酬の禁止)繰り返さないようにする? 

(15-21p)

「後は署長に丸投げしちゃお」助けた者のことを丸投げもできるのか。

「けれども承認なんて相対的価値に基づいた情報処理 単なる認識だからね 信仰心を持たなきゃ 胎界主が本当に信じるものを定めた時 世界は孕みだし完結へ向かうんだからさ」

20pのここ、ルーサーは稀男ではなく聖子を選んでいるんだな。それで21pで、自身の力の及ばない、風(他力)によって運ばれる容器(ルーサーが重なる)が、落ちることなく転がり続けているところを眺めていると。

 

11『サッキュバス』

 (1ー5p)

子どもをコマ間のところで殴って母親に非難されているところ、全く気が付いてなかった。

(6-10p)

「アイドルはもちろん母親などの近親者に対する憧れも皆無な上初恋の相手すらいないなんて」無我が生まれる前も含めてということは、養父母はやはり稀男のこと……

「自殺志願者だろ全国から集まってきやがるこの墓地は「忌み地」だから」全国的に有名な自殺場所って。

稀男が追い返すことのないように、台風なのも見計らっているんだろうな。

戸的の影が見える。

(11-16p)

「このヲンナ…………やる事なす事俺をイラつかせるが妙なトコをチクチクさせる」

 から「いいや人じゃない根拠だ 覗いた俺の記憶をもとに心理攻撃を仕掛けてるのさ かなり古い記憶に向けて……」と推論するのだから。ピュア関係でも同じように推論してもおかしくはない。読者の私に推論できなかったのは願望ゆえで、稀男自身が気が付かなかったのはロックがかかっていたからだろう。

(17-22p)

本当にピンチの稀男。ここの賭けで負けたら承認することに。

最悪な風鈴の揺れ方や。どんだけルーサー激しいの。

いとおしいから人魚姫が笑うことを想像した。あわとならないことではなくて、笑って消えることを。