胎界主1話「使い魔」がわからなくなる対話篇

《ネタばれ注意》

登場人物

A、胎界主を読んでいる。回答役

B、胎界主を読んでいる。質問役

 

B「胎界主がぜんぜんわからん。どうしたらいいのか」

A「じゃあ一緒に読みましょう。まずは1話である『使い魔』ですね」

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 B「疑問なんだけど、なんでクローバーを近づけると幻覚が解けるの? あれはバンシーが子供に持たせた物だろう。取り換え先で幻覚が解けたら子供の生存率が下がりません?」

A「…………えーと、バンシー牧場2の20ページで“取り換えの際の確認に使う"って説明されていて、ここからは推測だけれどまずニスは似ているから判別が難しい。たましいを持たないバンシーにはなおさら困難です。だから判別のために持たせるのだと思います。クローバー自体はその程度の機能だと思います。脱線だけどリルリニス、リースの実母説ってありましたね。根拠はポーズの一致⤵」

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web漫画 胎界主 第二部 ロックヘイム

A「こうして見るとコマの位置も同じですね」

B「ほんとに脱線だ。結局なんでクローバーで幻覚は解けたんですか」

A「ソロモンがなんかしたんじゃない(適当)そもそもソロモンという強大な胎界主の力によって本当かまがい物かが決定するので、クローバーは呼び水ぐらいの感じだと思います。この本物かまがい物かを胎界物は判別することができないというのは、世界観に即した重要な描写であるように思います。具体的に挙げると、陰彦が妻の今日子を二部のラストでリースに稀男の中身の違いが判別できなかったことがあります」

B「今日子の方は久松の中身が違うことを見分けられたのにね。じゃあ次なんだけど、なんで稀男は撃たれても大丈夫だったの、まだ運ぶ力は自覚してなかったよね」

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A「まず事実を確認しますと①銃殺を免れている②ゴミ箱に放って入ったことがない③心臓麻痺などの蓋然的な死因が回避されている。以上のことから運ぶ力そのものは働いていることがわかります。稀男はたとえば、一攫千金が蓋然的にありうるとしても運ぶ力で得ることはその未来を望むことができないためできませんが、餓死しかねないほどにお金を失うようなこともまた、逆に自身の死が望ましいという未来を望むことができないため、存在することの慣性によって存在が存続します。稀男は脆いのでひどく死にやすいのですが死ぬたびにソロモンによってリセットされているのでしょう」

B「うーん。まあいいや次、なんで戸的くんは魔王の誘惑をはねのけることができたの」

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A「そもそもとして戸的くんは、栗島さんを犠牲にすることを命が危ぶまれるほどに気に病んで、稀男に助けを求めました。このように思いつめることは、“子供のこころは穢れる事を恐れるから"と表現されています。(ヴァンパイア 後編 10ページ)自分のせいで人を犠牲にすることは子供にとって命を失うよりも恐ろしいほどにこころを穢すとされています。ですから、近視眼的というこれまた子供により濃く表れる性質から、栗島さんを近くに呼ぶことは、命よりも大切な心を守ることを意識させ、天秤を大きく傾けることができたのでしょう。(アイドルになることは命を危ぶむほどの夢ではありません)余談ですが、これも非胎界主の“この場での胎界主"の一例であると思われます」

B「はぁ。じゃあ最後だけどどうして稀男は四つ葉のクローバーを拾わなかったの」

A「………大切なものと名付けられたことが直接の原因です。クローバーは本当の親による存在承認として存続の力となるでしょう。しかし、クローバーが小銭と一緒だったことを思い返してください。クローバーも小銭同様、存続のために役立つものにすぎません。小銭が大切なものでないことと同じくクローバーも存続に多少足しになるものにすぎません。ですので、大切なものと名付けられたことで探すことが(マナの消費を伴うため)コストに見合わないものになり、拾われないのです」

B「うーん?」