胎界主 高解像度版再読企画 01『使い魔』

 検索の便利さにかまけて、ほとんどの再読がウェブ版ばかりという読者が多いかと思います。私もそうでした。ですが最近、高解像度版をPDFにしたところリーダビリティが著しく向上したこと。さらに、絵の大きさ、鮮明さが上がることで、何周もしているにもかかわらず非常に新鮮な読み味をもたらしました。これは例えるなら、視力0.3の世界から眼鏡の世界に移行した時のような感動です。なので、改めて再読したいと思います。

 

(0001p)

ソロモンの足が草を踏みつけにしている。そして、父親の手には四つ葉のクローバーがある。小魚と雑草は対応するだろうか。設定資料に新生児が初めて認識するのは赤、緑は世界とあったな。

(001-1p)

クローバー、クローバーの葉 Klee Kleeblatt 74頁クローバーは成長力が非常に強い植物で、生命力のシンボル、そして復活のシンボルともなる。(中略)古くはしばしば墓の上に植えられたことから別離のシンボルにもなった(中略)四つ葉のクローバーは今日にいたるまで幸運のシンボルとみなされている。

http://kawato29.hatenablog.com/entry/2017/12/16/234834

そっくりに産まれるニスを本物の母親が見分けるために、与える四つ葉のクローバーがまがい物の親に本物の自分の子ではないと知らしめるシーン。

(2-3p)

コインと四つ葉のクローバーが共に握られている。

読者に難読ポイントとして挙げられる一人称町田登場。いや、正直ヤクザ関係あんまり興味がないのでスルーしてました。町田が勝手に若頭を真似てトンットンして手を傷だらけにしてる方が救いようがなくて好き。いや組抜けのときにやらされたという方がありそうか。稀男登場。ここで町田は、久松組から亡くし屋が送られてきたと思っている。

(4-6p)

ここのアカーシャ球体の絵で読むと思ったのだよな。助けてと言われて、即座に殺してしまう。暴行のあとや死体があること、ヤクザが集まってきている(お父さんが来ている)のをスルーしておやつを食べようとしている主人公。

(7-15p)

『モチモチの木』のような絵本めいた雰囲気で、描かれる町の絵がすごくいい。

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ベリトの召喚シーンは、ぜひ高解像版で見てもらいたい。ぜんぜん違いますよ。それにしても、戸的くんに5千円払わせるなんてレプラコーンに果たして可能なのだろうか。(いや、だって小学生の5千円は大人の5万円より重いですよ。戸的くんの家はお小遣い厳しそうですし)わりと本気でソロモンの干渉があった説を推します。ゴチッと頭をぶつけるシーンの反復好き。

11pまで、ベリトの姿が描かれないのはニワトリだけだとフォイゾンが足りなくてヨボヨボだったからだろうな。

内実の伴わない100点、すぐパンに戻る金塊、地獄への逃亡、支配者の幻、奴隷になることと引き換えの声とベリトの与える物がことごとくまがい物なのは、やはりまがい物しか与えられないからだろうな。

(16-19p)

この「たき火」はいったい?

18pの「誓約成立だ」小さいコマで戸的くんの罪悪感を描いたあと、喉が治ったことですぐに忘れて、すぐにまた思い出してと目まぐるしい。

さらっと握手を無視するベリト、やはりひとりの胎界主程度は魔王にとってはたいした存在ではないのだろうな。

(20-23p)

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「占」今初めて気づいた。ゴチ4回目。ソロモンが稀男をベール派と誓約させたいため間違えさせられた。

なんでレプラコーンはすぐに逃げたのに、稀男の下にたどり着いているんだろう。ソロモンところどころ仕事が雑では。

稀男は命の緒が見えるので、自殺をブラフだと見透かしている。小学生と相打ち。

それにしても「本」を渡して稀男の下に向かわせた流れ、上記の画像のあとに話したことを差し込むの無茶でない?

(24-29p)

そういえば、召喚されるたびに劣化するということはあるのだろうか。

また投げられる戸的くん5回目。

助けてと言われてから徹底して顔が隠される稀男。

表層思考が読まれることを利用して、あえて妖魔と誤認させる稀男。

激昂するベリト高画質で見ると格別ですよ。

罪悪感から栗島さんを助けるために還すことを選んだ戸的くんの欲望を煽ることで、罪悪感を遠ざけて窮地を脱しようとするも、罪悪感を思い出させられる栗島さんが来たため強制送還に成功。

(30-32p)

一緒に持っていた金は落としていないのに、落としてしまったクローバー。見つけているのに(拾う時の指の形が緒を切るときのと同じ)、大切なモノと名付けられたために、(ここで溜息?を吐いている!!)大切ではないと名付け直された拾われないクローバーは線路近くに捨て置かれた。そして、クローバーから線路に沿って遠ざかる稀男と電車。井戸、電車、線路、クローバーとモチーフが効いているのだけど、言語化が難しい。

 

あらすじ風物語紹介

この物語は謎めいた男が真実を晒す場面から始まる。平凡な公務員である凡蔵夫妻の子は妖精に取り換えられていたのだ。その子供は、如何なる経緯を辿ったものかヤクザにすら怖れられる亡くし屋と呼ばれるようになっていた。

ここで場面は切り替わる。鮒界市のある小学校体育館にて怪しげな儀式が行われようとしていた。戸的少年は怪しげな占い師にそそのかされ、魔王を召喚しようとしていたのである。恐るべきことに魔王は召喚され、戸的の願いは叶えられた。しかし、その願いの代償に戸的は12年間ものの奴隷労働を誓わされる。もし、これから逃れたくば胎界主なる謎な存在を代わりに連れてくるように言われた戸的は、安易な気持ちで栗島たまきを魔王に差し出してしまう。戸的のたましいは救われた。その罪悪感に耐えかねて戸的は占い師レプラコーンを訪ねる。しかし、ここで今回のあらましを把握していたはずのレプラコーンは驚愕した。戸的に持たせた魔王の名前がすり替わっていたのである。これに、恐ろしい陰謀を見たレプラコーンは、匙を投げ問題を凡蔵稀男、そう亡くし屋と呼ばれていたあの男に委ねたのである。

稀男は戸的の持ってきた「本」を読むことで、魔王を強制送還する方法を見つけた。しかし、その方法は五芒星で恐ろしい魔王を囲む必要があるものであった。どうやって囲むのかを知らされないまま、魔王の前に放り出された戸的は怒れる魔王に脅される。すると、準備が終わった稀男が現れることで準備が整っていることに気づいた戸的は、恐ろしい魔王から逃れるために送還しようとする。そこで、送還されたくない魔王は戸的をアイドルになるという夢を叶えると誘惑し勝利を確信する。そのとき栗島が現れる。すると戸的は栗島を救いたいという目的を思い出し、送還に成功することで魔王の脅威から逃れることに成功したのだった。