ピュアの完全敗北について メモ

 以上のことを踏まえると、親子の姿は四つ葉のクローバーのようにありふれたものであるにもかかわらず、なぜピュアの完全敗北をもたらしたのかの疑問に答えられるかもしれません。ピュアのシステムは「象る力→ことば・いのち・こころ・からだ」の一方通行のものです。しかし、ピュアは稀男の遺言によって、ピュア自身が死ぬことを撤回しました。このことを裏付ける価値はピュアの正しさからはでてきません。敗北者として(この時点では正しさ自体は保たれている)従ったことにすぎないのですが、ここでシステムの一方通行性が否定されています。そして、ピュアが見た親子の姿それ自体は象る力によって不滅とするのがふさわしいといったものではありません。しかし、象る力によって不滅となるのがふさわしいとされたピュア自身のこころに、変化をもたらしました。ここで、ピュアは自身の根本的な心得違いを自覚するに至りました。ピュアは自身を上記システムとして用いて世界を補正するつもりでしたが、自身に変化をもたらすものがあるとき、判断の一意性が崩れシステムの正しさは根本的に成り立たなくなってしまうのです。